海外勤務者の社会保険
海外勤務者の医療保険
在籍出向(給与が全額出向元から出る場合)
在籍出向の場合には、本質的に国内勤務と同様になります。
ただし、療養費の支給申請をすることになります。 ※海外医療機関で発行される『診療内容証明書』と、『領収明細書』に日本語の『翻訳文』を添付し、保険者に提出します。「日本での療養の例によって」実施されるので医療費の高額な欧米では注意が必要です。 (例)NYで勤務中「急性盲腸炎」で入院。医療費を200万円支払った。 日本の保険者に療養費の支給申請をしたが「日本の医療費の例」が採用され、20万円ー自己負担額3割=14万円 よって14万円しか支給を受けられなかった。 |
在籍出向(給与の一部が出向元から出る場合)
給与が出向元から支給されない場合は被保険者資格を継続できないため、半額、またはそれ以下の金額を留守宅手当として国内の出向元企業から支給する方法があります。
※ただし、国内分の保険料は安くなってしまいます。傷病手当金や出産手当金の額も標準報酬が安くなる分支給額が安くなる。長期にわたる場合は厚生年金受給額も安くなります。 |
移籍出向(転籍) 出向先の健康保険制度
※ただし、出向先がアジア地域の一部や医療保険の充実していない地域の場合には、労働者が加入していた保険制度に2年限り加入できる「任意継続被保険者」の制度を利用することも出来ます。 |
海外勤務者の厚生年金
在籍出向(給与が全額出向元から出る場合)
在籍出向の場合には、本質的に国内勤務と同様になります。
この場合、出向先によっては改めて現地の年金制度に強制加入させられ、2重の年金制度に加入することもあります。
※年金制度への2重加入を防ぐために、一部の国とは、社会保障協定が結ばれています。社会保障協定の概要に関してはこのページの下部にて説明がありますのでご参照ください。 |
在籍出向(給与の一部が出向元から出る場合)
給与が出向元から支給されない場合は被保険者資格を継続できないため、半額、またはそれ以下の金額を留守宅手当として国内の出向元企業から支給する方法があります。
※ただし、このまま留守宅手当の金額で標準報酬月額を申請してしまった場合、国内分の保険料は安くなってしまいます。長期にわたる場合は厚生年金受給額も安くなる可能性がありますので気を付けてください。 |
移籍出向(転籍) 出向先の公的年金の被保険者
※日本での加入期間が無駄にならないようにすることは必要。 国民年金に任意加入し、被保険者期間をなるべく長期間にした方が有利になる。 |
社会保障協定とは
目的
- 1.2重加入の防止
- 2.年金加入期間の通算(イギリスと韓国は通算不可)
- 日本での社会保障制度に加入していること
- 派遣期間中も日本企業との雇用関係が継続していること
- 派遣期間が5年以内と見込まれること。
協定相手国での社会保障制度への加入が免除されるためには…
各国との社会保障協定

★6カ月ルール
相手国の社会保障制度の免許を受けるためには、相手国に派遣される直前に原則として6カ月以上継続して日本で就労・居住し、日本の社会保険制度に加入していることが条件となります。
★1年インターバル
日本からの派遣が2回目以降の場合は、直近の1時派遣が終了した時点から次の派遣まで1年経過していることが必要となります。
一時就労期間の延長

5年以内の要件は原則であり、業務の都合など、特別な事情がある場合には、一時就労期間を延長することが出来ます。5年を超える延長期間は相手国により異なります。
海外勤務者の労災保険
労災保険は国内の会社に適用され、そこで働く社員に適用となります。
転勤命令等で海外に派遣された場合は対象となりません。
そこで、海外勤務の場合は労災保険の特別加入という制度を利用しましょう。
海外勤務者の労災保険率は業種にかかわらず1000分の4です。
注意しなければならないのは、海外出張の場合は新たに特別加入する必要はなく、通常の労災保険でいいのですが、海外派遣の場合は特別加入する必要があるということです。